複素関数論講義(共立出版)のページ

最終更新日:2019年11月15日

● このページは,拙著「複素関数論講義」(2016年8月25日出版)に関するページです.
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第1刷をご購入くださった方,教科書に採択してくださった先生方,ありがとうございます.
2018年9月5日付けで第2刷が出版されました.
第2刷の出版にあたって,別紙のように修正を行いました.ご指摘くださった方々にお礼を申し上げます.
微積の本に引き続き,本書もご支援いただきますよう,よろしくお願いします.

● 以下は,九大付属図書館のニュースレター「きゅうと」 vol.11, no. 3(2016年10月号)に掲載された自著紹介文です.

複素解析の本はたくさん出版されています。しかしながら、理論の解説を主体とする本は数学科の学生にも難しく、
読解がなかなか大変です。一方で、複素関数論を使う立場で書かれた本は、問題解決の方法にのみ重点を置いて
数学的な厳密性を避ける傾向があり、複素解析が本来持つおもしろさや体系的な美しさを伝えきれていません。
本書は、既存の本にあるこのような隙間を補うべく、興味深い例や応用も盛り込んで、理論の学習とともに計算も
楽しめるように書かれたテキストで、2013年に出版された拙著「微分積分学講義」の続編になっています。演習問
題は解いていて興味が湧くようなものを比較的多く採録し,解答・解説も詳しく書かれています。是非手に取って
読んでみてください。

● 共立出版社 facebook の2019年4月17日の投稿 から.

● 誤植や補遺等を順次掲載して,購入してくださった方への便宜をはかり,
ご意見やご感想とともに,版を重ねるときに反映させていきたいと考えています.
野村隆昭宛ご連絡いただければ,大変ありがたいです.


● 本書の例題2.37について,ある方から↓のような情報をいただきました.
私も実際に確かめてみたところ,Mathematica は↓と同じ返答をしてきました.
More terms をクリックすると,25項目あたりから何やら怪しい挙動を始めます.
PC版でも同じことが起こります.(190710)

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WolframAlpha に行って,

Sum[Sin[Pi (2 + Sqrt[3])^n], {n, 1, Infinity}]

を入力して enter key を押すと, 「sum does not converge」 と返答してきます.

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誤植のリスト:
第2刷において,みつかった誤植(第1刷の生き残り). ご指摘くださった方々にお礼を申し上げます.

(1) 21ページ,2.2節から上へ2行目: eーβ+εeーβε (190831)

(2) 34ページ,下から7行目:用語を定義する → 用語を定義する (181221)

(3) 45ページ,定理3.31の証明の6行目の display 式左端の項: f(z0f(z0) (190831)

(4) 48ページ,定義 3.38 から上へ4行目.zt0z(t0) (190131)

(5) 236ページ,問題4.27解答5行目.左端の項のΣ記号の下端は n=1 (190831)

(6) 245ページ,下から2行目:|P(z)|= → |P(z)| (190831)

(7) 265ページ,問題11.71の解答5行目の級数の一般項は絶対値ではさむのではなく, 丸括弧( )ではさむ(191115)

(8) 265ページ,問題11.71の解答5行目.一様収束 → 一様に絶対収束 (191115)


補遺:
97ページ例題7.25では,C は複素数平面上の,閉曲線とは限らない,始点と終点が複素数平面上にある区分的になめらかな曲線です.
したがって,C は複素数平面上のコンパクト集合であり,長さを持ちます(命題7.11の直前参照).
本例題の結論は後述の例8.37の C が線分である場合にも適用されます. 本書では,複素線積分は狭義のRiemann積分です.
ただし,実軸上の積分では広義Riemann積分も現れますが,それも実際は狭義の積分の極限として定義されるものです.(190831)

出版されてから,知った文献がありますので,紹介します.

(1) 46ページの脚注 2) に関して.
[1] H. Shulman, On uniform and absolute convergence, Amer. Math. Monthly, 63 (1956), 35.
[2] Solution to 4653, Amer. Math. Monthly, 63 (1956), 729--730, およびそこにある Editorial Note.
閉区間 [0,1] で連続な函数を一般項とする級数 Σ an(x) で, [0,1]で一様収束しかつ絶対収束するが,
Σ|an(x)| の収束が一様収束でない例が挙げてあります.
絶対かつ一様に収束するが,「一様に絶対収束」ではない級数の例です.(160908)

(2) 71ページの問題5.8 (4)について.
[1] R. M. Robinson, A curious trigonometric identity, Amer. Math. Monthly, 64 (1957), 83--85.
z|< r で正則であって,|f (xiy)|= |f (x) +f (iy)| をみたすものは, A を定数,b を実定数とする
ときの,AzA sin bzA sinh bz に限られることが示されています.(160908)

(3) 178ページの例題11.35について. 下記の文献があります
[1] R. Cheng, A. Dasgupta, B. R. Ebanks, L. F. Kinch, L. M. Larson, and R. B. McFadden, When does f ー1 = 1/ f ?,
Amer. Math. Monthly, 105 (1998), 704--717.
この文献は執筆前から知っていましたが, 中途半端なコメントになったので,そのコメントは
原稿から省きました.(160909)