この授業では群、環という代数学の基本対象について学びます。群は小学校で正多角形を学ぶ際に考えたような対称性を記述する概念で、数学の幅広い分野で威力を発揮する強力な道具です。環は (1) ある集合上の関数の空間や、(2) n 次正方行列の空間などの拡張になっています。(1) の例は例えば、代数幾何のように、空間を調べるのにその空間上の関数の環を見るときに現れます。一方の (2) は作用素環など、群と同じく対称性を表すのに用いられます。
群、環についての基礎事項を学ぶ際には、ただ抽象的な概念としてではなく、群や環の基本的な例を通じて実感することが必要不可欠です。そのためにはできるだけ積極的に演習に参加してそうした例に触れてください。講義中もできるだけ多くの例を挙げるようにしていきます。
最後に、ここで学ぶ内容は代数学 B, C を始め今後皆さんが学ぶ科目の前提条件となります。演習にも積極的に参加して代数的な考え方の基礎を培ってください。
教科書は 桂利行著「代数学 I 群と環」(大学数学の入門 1 東京大学出版会) を使います。基本的に教科書に沿って授業を進める予定ですが、教科書にあるすべての内容を講義するわけではありません。
午前中の授業では出席を取った後、講義を行います。
午後の演習では毎回午前中に講義した内容についての初歩的な問題を10題程度出題します。その後の進め方は次の通りです。
成績は普段の学習状況を重視して次のように評価します。普段授業に出てこないで中間、期末試験を受けただけでは合格できませんので注意してください。