Time Table
12月7日(火) | 12月8日(水) | 12月9日(木) |
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9:10 - 9:50 久保田直樹 |
9:10 - 9:50 森隆大 |
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10:00 - 10:40 白石大典 |
10:00 - 10:40 Patrick van Meurs |
10:00 - 10:40 竹居正登 |
11:00 - 11:40 福島竜輝 |
11:00 - 11:40 謝賓 |
11:00 - 11:40 中島誠 |
昼休み | 昼休み | 昼休み |
13:20 - 14:00 星野壮登 |
13:20 - 14:00 阿部圭宏 |
13:20 - 14:00 長田翔太 |
14:20 - 15:00 須田颯 |
14:20 - 15:00 佐々田槙子 |
14:20 - 14:40 河本陽介 |
14:50-15:10 野田航平 |
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15:30 - 16:10 田中亮吉 |
15:30 - 16:10 中島秀太 |
15:30 - 16:10 長田博文 |
16:20-17:00 角田謙吉 |
16:20-17:00 Lu Xu |
Titles and Abstracts
2021年12月7日(火)
$d$次元単純ランダムウォーク ($d \ge 2$) に対して, cut point ($d=2, 3$) や
frontier point ($d=2$), loop-erased random walk ($d=2, 3$)といった「例外点」
と呼ばれる点の集合を考える. ランダムウォークを長時間走らせた時, これらの点の
個数を適切にrescaleしたものが収束するか否かについて興味がある. 本講演では,
最近の研究の発展により, 上の収束を含めた例外点の解析が行えるようになってきた
ことを報告する. 本講演はYifan Gao氏, Xinyi Li氏, Petr Panov氏との共同研究に基づく.
$d$次元正方格子上のランダムウォークに,その訪問点の個数をHamiltonianとして重みをつけたGibbs測度を考える.これはいわゆる排除体積効果を弱い意味で考慮した高分子の模型と考えることができる.このモデルではランダムウォークにドリフトを加えた場合に,その強さに応じて大数の法則のレベルで相転移が起きることが知られている.Sznitmanは臨界値のある意味での特徴づけと,優臨界相での大数の法則を示した.それからしばらく経って,Ioffe-Velenikは臨界点でも大数の法則が正の速度をもって成り立つことや,中心極限定理も示した.本講演では残された劣臨界相において,ランダムウォークのスケール極限について得られた結果を紹介する(Jian Ding氏, Rongfeng Sun氏, Changji Xu氏との共同研究).
We study the non relativistic and ultra relativistic limits in the nonlinear damped Klein-Gordon equation driven by a space-time white noise on the 2d torus. In order to take the limits, it is crucial to clarify the parameter dependence in the estimates of the solution. We obtained uniform Strichartz estimates as a byproduct of this study.
This talk is based on a joint work with Reika Fukuizumi (Tohoku University) and Takahisa Inui (Osaka University).
This talk is based on a joint work with Reika Fukuizumi (Tohoku University) and Takahisa Inui (Osaka University).
本講演では, [Funaki-Nishijima-Suda-21] により導入された Stochastic eight vertex model (S8V) と呼ばれる一次元格子上の粒子系における時空間スケール極限を考察する.
S8V とは [Gwa-Spohn-92] により導入された Stochastic six vertex model (S6V) の拡張であり, 系の粒子数が時間発展で変化しない S6V に対し, S8V は粒子の生成消滅が生じるモデルである.
S6V では, 弱い非対称性の仮定 (ダイナミクスの非対称部分は系のサイズ N に対して $N^{-1/2}$ で減衰) と 拡散的時空間スケーリング のもとで, 微視的な粒子分布の平衡揺らぎは Stochastic Burgers equation に従うことが知られている [Corwin-Ghosal-Shen-Tsai-20]. 本講演では, S6V の場合と類似した仮定のもとで, S8V の巨視的な平衡揺らぎとして新しいタイプの Stochastic Burgers equation が導出されることを紹介する.
S6V では, 弱い非対称性の仮定 (ダイナミクスの非対称部分は系のサイズ N に対して $N^{-1/2}$ で減衰) と 拡散的時空間スケーリング のもとで, 微視的な粒子分布の平衡揺らぎは Stochastic Burgers equation に従うことが知られている [Corwin-Ghosal-Shen-Tsai-20]. 本講演では, S6V の場合と類似した仮定のもとで, S8V の巨視的な平衡揺らぎとして新しいタイプの Stochastic Burgers equation が導出されることを紹介する.
De Masi, Ferrari, Lebowitz (1985)は整数格子上のGlauber過程に拡散スケールで
スピードアップした単純排他過程を重ね合わせると, その流体力学的極限として
非線形反応拡散方程式が現れることを見出しました.
これにはKipnis, Olla, Varadhan (1989) によって(有限体積の場合に)
別証明も与えられています.
彼らの結果はこの過程の定常分布がGibbs分布でも一様分布でもなく, またスケール極限をとると逆温度でパラメータ付けられた相転移があることを示しています. この"相転移"を混合時間のレベルで捉える試みと得られた結果を紹介したいと思います. (角田謙吉氏との共同研究.)
彼らの結果はこの過程の定常分布がGibbs分布でも一様分布でもなく, またスケール極限をとると逆温度でパラメータ付けられた相転移があることを示しています. この"相転移"を混合時間のレベルで捉える試みと得られた結果を紹介したいと思います. (角田謙吉氏との共同研究.)
田中亮吉氏の講演に引き続き、Glauber過程に排他過程を重ね合わせた確率過程を考える。講演者はこの模型の定常状態がFreidlin–Wentzell理論における準ポテンシャルをレート関数として大偏差原理をみたすことを以前示した。この準ポテンシャルは系が高温であるときには双安定になることから、系が高温のときには混合時間は指数的に長いと自然に予想される。この問題を解決するために、流体静力学とよばれる定常状態に対する大数の法則及び流体力学極限に対する大偏差原理を援用する必要がある。本講演では講演者の先行研究を交えつつ、この問題について得られた結果を紹介する。
2021年12月8日(水)
- 9:10-9:50 久保田 直樹 (日本大学) (Naoki Kubota)
- 10:00-10:40 Patrick van Meurs (金沢大学)
- 11:00-11:40 謝 賓 (信州大学) (Bin Xie)
- 11:40-13:20 昼休み
- 13:20-14:00 阿部 圭宏 (千葉大学) (Yoshihiro Abe)
- 14:20-15:00 佐々田 槙子 (東京大学) (Sasada Makiko)
- 15:30-16:10 中島 秀太 (University of Basel) (Shuta Nakajima)
- 16:20-17:00 徐 路 (Gran Sasso Science Institute) (Lu Xu)
本講演では,ポテンシャルに影響を受けながら正方格子上を運動するシンプルランダムウォークを考える.特に,このランダムウォークがある点へ到達するときに要するコストに焦点を当てる.このコストは“リアプノフ指数”と呼ばれる量で記述されており,それはポテンシャルの分布に依存している.この依存性においてはより詳しく調べられており,ポテンシャルの分布の変化に応じて,リアプノフ指数は単調かつ連続的に変化することが知られている.これらの結果から,「ポテンシャルの分布が真に異なるとき,それらに対するリアプノフ指数も真に異なるのか?」という自然な疑問が沸き上がる.そこで本講演では,この問題に関して得られた研究結果を紹介する.
We derive a continuum mean-curvature flow as a certain hydrodynamic scaling limit of stochastic particle systems of Glauber-Kawasaki type on the discrete torus in d dimensions. The Kawasaki part describes the jumps of particles to neighboring vacant sites with a rate which may depend on the particle configuration. The Glauber part describes the creation and annihilation of particles with a rate which also may depend on the particle configuration. When the Glauber part is sped up at a higher rate than the diffusive scaling of the Kawasaki part, a mean-curvature interface flow emerges, with a homogenized ‘surface tension-mobility’ parameter. This parameter depends on the rates for the Kawasaki and Glauber dynamics. We prove this hydrodynamic limit by using the relative entropy method along with a suitable ‘Boltzmann-Gibbs’ principle.
This is work in progress with T. Funaki (Waseda University), S. Sethuraman (University of Arizona) and K. Tsunoda (Osaka University)
This is work in progress with T. Funaki (Waseda University), S. Sethuraman (University of Arizona) and K. Tsunoda (Osaka University)
We consider a singular quasilinear stochastic PDE with spatial white noise as a potential over one dimensional torus, which can be driven from the study of the hydrodynamic scaling limit of a microscopic interacting particle system in a random environment. We mainly show the global existence of solutions in paracontrolled sense and, under a certain additional condition on the noise, we prove the convergence of the solutions to its stationary solutions as time goes to infinity. We apply the method of energy inequality and Poincare inequality. This is based on a joint work with T. Funaki.
2次元格子内の一辺がNの正方形上を動く単純ランダムウォーク(SRW)を考える.
このSRWは境界に到達したら一様ランダムに選んだ境界辺を通って再び正方形内
に戻るとし, 被覆時間(すべての点を訪問し尽くすまでの時間)の定数倍だけ
走るとする. 本講演では, thick point (SRWが頻繁に訪問する点)の統計的性質
を紹介する. より具体的には, thick pointに対応する点過程を考え, Nを無限大
にするときの点過程の極限定理を紹介する. この極限は2次元ガウス自由場の
極値理論に現れるLiouville ランダム測度と密接に関係する.
本講演はMarek Biskup 氏と Sangchul Lee 氏 との共同研究に基づく.
非勾配系に対する流体力学極限の証明で最も汎用性が高いと期待されるものは、Varadhanの方法と呼ばれるアプローチである。この方法の本質である「Varadhanの分解定理」と呼ばれる定理は、いくつかの理由によって、モデルごとの定式化と証明が行われており、一般的な抽象的枠組みでは理解ができていなかった。この定理について、我々は、さまざまなモデルを含む一般的な枠組みを設定し、一定の条件の元で、「Varadhanの分解定理」に類似した、確率測度に依存しない定理を、局所一様有界コホモロジーという概念を導入することで証明した(arXiv:2009.04699)。さらに、この結果を使って、本来の$L^2$の閉形式に対する「Varadhanの分解定理」を、(i) 各点での状態が有限集合である、(ii) 確率測度が直積である、などの一定の条件のもとで一般的に証明した。本結果は保存量の数が任意であり、multi-species exclusion processにも適用できる。また、三角格子や六角格子上のモデルにも適用できる。本講演は、坂内健一氏(慶應大学)、亀谷幸生氏(慶應大学)との共同研究に基づく。
We consider the frog model on $\mathbb{Z}^d$ and study the upper tail large deviations. We obtain the corresponding scalings and variational formulas for the rate functions. As a result, we show that the rate functions are given by power functions. This talk is based on joint work with Hao Van Can and Naoki Kubota.
We study the asymmetric simple exclusion process (ASEP) on $1$-$d$ finite lattice in contact with reservoirs at boundaries.
The boundary dynamics evolves on a slow time scale $N^{-a}$ with $a>0$.
We prove that at the time scale $N^{1+a}t$, the system evolves quasi-statically with a macroscopic density profile given by the entropy solution of the stationary Burgers equation with time-dependent Dirichlet boundary conditions.
The proof is based on the control on microscopic boundary entropy flux and a coupling argument.
Joint work with Anna De Masi, Stefano Marchesani and Stefano Olla.
2021年12月9日(木)
- 9:10-9:50 森 隆大 (京都工芸繊維大学) (Takahiro Mori)
- 10:00-10:40 竹居 正登 (横浜国立大学) (Masato Takei)
- 11:00-11:40 中島 誠 (名古屋大学) (Makoto Nakashima)
- 11:40-13:20 昼休み
- 13:20-14:00 長田 翔太 (九州大学) (Shota Osada)
- 14:20-14:40 河本 陽介 (福岡歯科大学) (Yosuke Kawamoto)
- 14:50-15:10 野田 航平 (九州大学) (Kohei Noda)
- 15:30-16:10 長田 博文 (九州大学) (Hirofumi Osada)
$d$次元ユークリッド空間を動く$p$本の独立なBrown運動に対し, それらのintersection measureを考える. Intersection measureは時刻$t$までの$p$本の軌跡の共通部分に台を持つランダム測度であり, $p=1$の場合は単なる滞在測度である. DonskerとVaradhanにより正規化された滞在測度の時間無限大での大偏差原理(LDP)が得られた様に, intersection measureのLDPはKönigとMukherjeeにより得られたが, 証明手法に固有函数展開を使用しているために有界領域上のkilled BMに対する(full) LDPしか得られていなかった. 本講演では, 証明手法の改良により有界領域の条件が外され, 非有界領域, 特にユークリッド空間全域でのweak LDPが得られたことを説明する. 本講演はarXiv:2005.09219に基づく.
Elephant random walkは,"step-reinforcement"と呼ばれる仕組みにより推移確率が変動する離散時間ランダムウォークであり,「記憶の強さ」に相当するパラメータ$\alpha $がある臨界値を超えると,通常のランダムウォークより大きなオーダーで拡散することが知られている.一方,劣臨界的・臨界的な場合には,ウォーカーの位置に関して中心極限定理が成立することが示されている.本講演では,林正史氏(琉球大学),大城壮氏(琉球大学)との共同研究に基づき,この中心極限定理におけるモーメント収束の速さがパラメータ$\alpha $にどのように依存するかについて述べる.
近年, 高次元KPZ方程式や乗法的確率熱方程式の解の構成を試みられている. 特にその中で注目されたのが乗法的確率熱方程式のノイズの強さをパラメータに依存して弱めるものであった. あるスケールでノイズの強さを弱めた時, 確率熱方程式の解$u_\varepsilon$の一点での値$u_\varepsilon(t,x)$をみると非自明な確率変数に収束することが示されたが, ランダム場としてテスト関数に作用させると極限として非ランダムなものが現れる. これはある種, 大数の法則に相当するものである. この講演では同じスケールの場合の確率熱方程式, KPZ方程式から定まるランダム場に対する中心極限定理を紹介する. 本講演はClément Cosco氏, および中島秀太氏との共同研究に基づく.
$\mathbb{R}^d$上の点過程に対して,Dirichlet形式を用いて配置空間上のダイナミクスを構成する.点過程の対数微分は,Campbell測度の超関数の意味での微分で定義され,ダイナミクスを記述する無限次元確率微分方程式のドリフト項を記述することが知られている.本講演では,$\mathbb{R}^d$上の点過程に対して,局所可積分性を満たす対数微分の存在からDirichlet形式の可閉性が従うことを証明する.この結果は(1次元を超えて)一般次元で成立し,また,可測性以上の対数微分の正則性を必要としない.
サイン点過程にパラメーターが入った一般化サイン点過程について,これを可逆測度とする無限粒子系の確率力学を考える.本講演では,この力学の無限次元確率微分方程式を扱う.この確率微分方程式は,Bessel点過程に対応する無限粒子系の確率微分方程式と同じ形をしている.しかし,一般化サイン点過程は実軸上の無限粒子系である一方,Bessel点過程は正の実軸上の点過程である.よって,これらに対応する確率力学は見かけ上全く異なるものでありながらも,実は同じ確率微分方程式を満たすことが分かる.
定常複素ガウス過程を係数に持つランダム冪級数を考える.Peres-Virágは2005年に独立同分布の標準複素ガウス型確率変数を係数に持つランダム冪級数の零点過程がBergman核に付随する行列式点過程であることを示した.本講演では,定常複素ガウス過程を係数に持つランダム冪級数の原点中心半径rの円板内にある零点の個数の平均の漸近挙動を導出し,Peres-Virágのものとは真に異なることを示す.さらに,係数のガウス過程のスペクトル関数の零点が零点の個数の平均の漸近挙動で本質的な役割を果たすことを紹介する.本講演は白井朋之氏(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)との共同研究に基づく.
対称マルコフ過程の熱核の大局的な評価、対角線部分の減少のorderとNashや$L^2$-Soblev不等式との、必要十分性は、Nashに端を発する美しい理論体系である。
この結果自体は、次元の制約を受けないが、実質的には、有限次元の結果である。そこで、無限粒子系の世界において、対応物を考えると、それは、各tagged粒子の大局的挙動、拡散的か否か、という問題に行き当たる。
これは、tagged粒子というマルコフ的でない(マルコフ過程の加法関数ではあるが、それ自身はマルコフ性を持たない)対象に対して、いかに、幾何的な構造を見いだせるかという問題でもある。
この講演では、無限粒子系の空間における、Nashの理論の一つの対応物を紹介する。そして、Nashの不等式の役割を果たすものが、空間の剛性であることを示す。
具体的な結果として、GinibreやGAFのtagged粒子が、劣拡散的であることを示す。尚、空間の剛性とは別の鍵は、Dirichlet形式の領域(domain)として、lower Dirichlet 形式のdomainを採用することである。これには、lowerおよびupper DIrichlet形式の一致定理を、昨年出版した、Dirichlet形式の一意性の論文で証明しており、応用されている。
これは、tagged粒子というマルコフ的でない(マルコフ過程の加法関数ではあるが、それ自身はマルコフ性を持たない)対象に対して、いかに、幾何的な構造を見いだせるかという問題でもある。
この講演では、無限粒子系の空間における、Nashの理論の一つの対応物を紹介する。そして、Nashの不等式の役割を果たすものが、空間の剛性であることを示す。
具体的な結果として、GinibreやGAFのtagged粒子が、劣拡散的であることを示す。尚、空間の剛性とは別の鍵は、Dirichlet形式の領域(domain)として、lower Dirichlet 形式のdomainを採用することである。これには、lowerおよびupper DIrichlet形式の一致定理を、昨年出版した、Dirichlet形式の一意性の論文で証明しており、応用されている。