データサイエンスとは、実現象に潜む情報をいかにして抽出するかを研究する科学分野であり、広範な対象をもつ。本集会の目的は、その一翼を担う統計科学に係る基礎および応用研究の交流を促進し、同時に各分野でのフィードバックによる発展・深化を導くことである。我々はこれまでの経験を踏まえ、最新の研究成果の情報共有に加え、専門分野が互いに密接であり過ぎない状況において、肩ひじ張らない自由闊達な意見交換の時間を設けることを重視している。具体的な計画は後述する。
データサイエンスという用語が脚光を浴び出してから数年が経った。その背景には、情報処理・データ通信技術の向上による複雑多様な大規模データの氾濫がある。しかし、単にデータを収集することと有益な情報を定量的かつ論理的に抽出することの間には、大きな乖離がある。情報が得られたとしても、そのシンプルで明快な解釈および分析手法の再現性の担保には、ホワイトボックス形式で汎用的な統計解析ツールを開発・実装することが本質的となる。データサイエンスという巨大な科学分野において、統計科学が以前にも増して重要視され出した理由はここにある。
統計科学は、数理統計学・応用背景・計算機(実装)能力をもって発展されてゆくべきものである。近年のデータの多様化・大規模化にともない、分野ごとにカスタマイズされた形で理論背景を整備することが急務となっている。本集会をつうじて、中長期的な視野をもって統計学を共通言語とした有機的な異分野協働の芽を育てたい。新たな融合研究領域の創成、産業界との連携、ならびに基礎数理研究へのフィードバックおよびその深化が期待される。
研究集会幹事
増田 弘毅, 廣瀬 慧, 佃 康司
10:25~10:30 | 挨拶 増田 弘毅 | |
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10:30~11:10 |
川野 秀一 九州大学 大学院数理学研究院 |
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データサイエンスによる水処理微生物群集の解析 |
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11:10~11:20 | フリーディスカッション |
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11:20~12:00 |
森 史 九州大学 芸術工学研究院 |
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振動の時刻データを用いた振動子間の結合強度の推定 |
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12:00~12:10 | フリーディスカッション |
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12:10~13:30 | 休 憩 |
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13:30~14:10 |
船渡川 伊久子 統計数理研究所 |
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COVID-19と健康関連指標 |
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14:10~14:20 | フリーディスカッション |
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14:20~15:00 |
堀 磨伊也 公立鳥取環境大学 人間形成教育センター |
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予測モデルの局所的解釈に基づくフィードバックの実現 |
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15:00~15:20 | フリーディスカッション・休憩 |
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15:20~16:00 |
星野 伸明 金沢大学 経済学経営学系 |
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情報保護のための一般化多項分布族 |
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16:00~16:10 | フリーディスカッション |
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16:10~16:50 |
矢田 和善 筑波大学 数理物質系 |
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データ変換法を用いた高次元平均ベクトルの推測について |
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16:50~17:00 | フリーディスカッション |
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17:00~17:05 | 挨拶 廣瀬 慧 |