令和7年度後期講演

日時 10月31日(金) 16:00--18:15
会場 西新プラザ 2階 中会議室

講師/講演時間 比佐 幸太郎 氏(福岡大学)/ 16:00--17:00
題目 Sobolev優臨界指数を持つ放物型Hénon方程式に対する爆発レートについて
概要 本講演では,Sobolev優臨界べきを持つ放物型Hénon方程式の非負値球対称解の爆発現象について考察する. この方程式は非線形項が原点で0に退化する空間パラメータを含んでおり, 原点で発熱の効果が消えているため,一見すると原点で爆発しづらいように思える. 本講演では,実際に原点で爆発する解を構成し,その場合のblow-up rateの考察も行うことが目標である. なお,本講演は東京都立大学の関 行宏氏との共同研究に基づく.

講師/講演時間 菊池 弘明 氏(津田塾大学)/ 17:15--18:15
題目 Classification of positive solutions to double-power nonlinear stationary Schrödinger equations
概要 この講演では、定常非線形シュレディンガー方程式の正値解について考える。 考える非線形項は二重べきで、そのうち、一方はソボレフ臨界で、他方はソボレフ劣臨界のものとする。 この方程式は、空間3次元においては、ソボレフ劣臨界のべきの指数が 3 より小さい場合は、正値解の一意性が成立せず、 2つの異なる解が存在することが知られている。 ここでは、ある条件の下では、正値解は上記の2つしかないことを話す。 また、時間に余裕があれば、正値解のモース指数についても触れたい。



日時 11月7日(金) 16:00--18:15
会場 西新プラザ 2階 中会議室

講師/講演時間 橋詰 雅斗 氏(大阪大学)/ 16:00--17:00
題目 スケールパラメータを含むTrudinger-Moser不等式の消失現象について
概要 有界領域におけるTrudinger-Moser不等式に関して、領域のスケールに関するパラメータを導入し、不等式を達成する最大化関数のスケールパラメータによる漸近挙動を扱う。この漸近挙動はTrudinger-Moser汎関数のもつ指数に依存して異なる様相を呈することが知られており、指数が大きい場合エネルギー凝集現象が起こり、指数が小さい場合消失現象が起こる。この消失現象に着目し、最良定数の漸近展開および最大化関数の消失現象におけるプロファイルを明らかにする。適切な変換を施すことにより、最大化関数はべき乗型楕円型方程式の解へと収束し、さらにその解はある変分問題の最大化関数となっていることを示す。

講師/講演時間 藤嶋 陽平 氏(静岡大学)/ 17:15--18:15
題目 スケール不変性を持たない半線形熱方程式の大域解の有界性
概要 本講演では一般の非線形性を有する半線形熱方程式を考察し, 球対称な時間大域解の一様有界性を示す. 我々の手法は指数型のような増大が強い非線形問題に対しても適用可能であり, 特に空間次元が 3 以上 9 以下の場合には \(e^{u^p}\) (\(p>1\)) のようなスケール不変性を持たない方程式に対して大域解の有界性が示される. 講演では初めに冪乗型方程式に対するスケール則を用いた議論を紹介し, スケール不変性が崩れたときに現れる問題点とその解決策について紹介する. 本研究は菅徹氏 (大阪公立大学) との共同研究に基づく.



日時 11月28日(金) 16:00--18:15
会場 西新プラザ 2階 中会議室

講師/講演時間 吉川 周二 氏(広島大学)/ 16:00--17:00
題目 A transmission problem for wave equations in infinite waveguides
概要 互いに接する2つの無限に長い帯状領域上で、それぞれ異なる伝播速度をもつ波動方程式を満たす問題を考察する。この問題は、炭素繊維複合材料のユニットセルモデルに動機づけられた層状材料中の波動伝播を表現するモデルである。一方で、数学的にはウェーブガイド領域におけるトランスミッション問題に位置づけられる。この系に対して、作用素を分割し、分割された有界領域上の作用素に対して固有関数展開をすることで、解の減衰評価を導く。鍵となるのは、対応する固有値に対するWeyl型評価である。本研究は、Rainhard Racke氏(University of Konstanz)との共同研究に基づく。

講師/講演時間 倉田 和浩 氏(東京都立大学)/ 17:15--18:15
題目 Concentration phenomena of solutions to Chemotaxis models on compact metric graphs
概要 コンパクトメトリックグラフ上でのいくつかのChemotaxis modelの定常問題としての非線形楕円型境界値問題の解を考え、走化性の強さを表すパラメータが大きい時の解の集中現象を扱い、解の凝集点の位置が、付随するグリーン関数の最大値の最適化問題で決定されることを報告する。特に、いくつかの単純なメトリックグラフに対しては、グリーン関数の具体的計算により、解の凝集点の正確な位置を知ることができる。



日時 12月12日(金) 16:00--18:15
会場 西新プラザ 2階 中会議室

講師/講演時間 Erbol Zhanpeisov 氏(東北大学)/ 16:00--17:00
題目 Blow-up rate for the subcritical semilinear heat equation in non-convex domains
概要 We study the blow-up rate for solutions of the subcritical semilinear heat equation. Type I blow-up means that the rate agrees with that of the associated ODE. In the Sobolev subcritical range, type I estimates have been proved for positive solutions in convex or general domains (Giga–Kohn ’87; Quittner ’21) and for sign-changing solutions in convex domains (Giga–Matsui–Sasayama ’04). We extend these results to sign-changing solutions in possibly non-convex domains. The proof uses the Giga-Kohn energy together with a geometric inequality that controls the effect of non-convexity. As a corollary, we obtain blow-up of the scaling critical norm in the subcritical range. Based on joint work with Hideyuki Miura and Jin Takahashi (Institute of Science Tokyo).

講師/講演時間 中田 行彦 氏(青山学院大学)/ 17:15--18:15
題目 時間遅れをもつ微分方程式の対称周期解について
概要 生命現象や生物現象において時間遅れのフィードバックが無視できないことは多く,時間遅れをもつ微分方程式によって定式化された数理モデルはこれまで精力的に考えられてきた. Kaplan and Yorke (J. Math. Anal. Appl., 1974)は,離散的な定数時間遅れをもつ微分方程式において,方程式がもつ非線形関数が適当な奇関数であるとき,ハミルトン系常微分方程式から,対称性をもつ周期4の周期解を構成した. 本発表では,離散的な定数時間遅れをもつ微分方程式やKaplan and Yorkeの結果について紹介し,分布型の時間遅れをもつ微分方程式において得られてきた,対称性をもつ周期解について紹介する. 周期解が楕円関数を用いて明示される例についても触れたい.



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