日時 | 4月19日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C504小講義室 |
講師 | 三宅 庸仁 氏(九州大学) |
題目 | Threshold-type algorithm for gradient flows of Canham-Helfrich type functional |
概要 | 本講演では, Canham-Helfrich 型汎関数の勾配流として得られる幾何学的発展方程式に対する閾値型近似アルゴリズムについて考察する. 閾値型近似アルゴリズムは元々, Bence-Merriman-Osher (1993) により提唱された, 平均曲率流の近似解を熱方程式の解の super level set を用いて構成するアルゴリズムである. 本講演では, 熱方程式の代わりにある線形四階放物型方程式を用いた場合にどのような幾何学的発展方程式の近似解が構成できるか考察し, 得られた研究成果について報告する. また, 時間が許せば今後の課題について詳述する. 尚, 本講演の内容は石井克幸氏 (神戸大学), 高坂良史氏 (神戸大学), 榊原航也氏 (金沢大学) との共同研究に基づく. |
日時 | 4月26日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 福岡大学(セミナー会場は案内メールでご連絡いたします。) |
講師 | 小杉 卓裕 氏(福岡工業大学) |
題目 | ある制約条件付き平均場ゲームで表される価格形成モデルの解の存在 |
概要 | よく知られている平均場ゲームは最適制御からくる価値函数とエージェントの分布の連立方程式として表されるが,本講演では積分方程式により制限をうける未知函数を含め3本からなる連立方程式を考える.Gomes-Saude (2021) によれば,この方程式系は電力市場における価格形成モデルであり,1次元において解の一意存在性を解決している.平均場ゲームは対応する最適制御を用いて解析することが多いが,本講演ではPDEアプローチのみにより多次元上での解の一意存在性を示す. |
日時 | 5月10日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C504小講義室 |
講師 | 高橋 仁 氏(東京工業大学) |
題目 | Sobolev優臨界な半線形熱方程式における臨界ノルム爆発について |
概要 | 冪乗型の非線形項を持つ半線形熱方程式を考える.この方程式にはスケール不変性があり,臨界ノルム(スケール不変なLebesgueノルム)が定まる.本発表では,解の上限ノルムが有限時間で爆発するとき臨界ノルムも爆発するか,という問題を考える.主結果では,非線形項の冪がSobolevの臨界指数よりも大きいとき,解の球対称性や爆発のタイプによらず,上限ノルムの爆発時刻において臨界ノルムも常に爆発するということを示す.なお本発表の内容は三浦英之氏(東京工業大学)との共同研究にもとづく. |
日時 | 5月17日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C504小講義室 |
講師 | 太田 雅人 氏(東京理科大学) |
題目 | 非線形シュレディンガー方程式の定在波の強不安定性について |
概要 | 非線形シュレディンガー方程式の定在波解の強い意味での不安定性に関するこれまでの研究について振り返る.ここで,定在波解が強い意味での不安定であるとは,定在波解のどんな近くにも有限時間で爆発する解の初期データが存在することである.特に,二重冪型の方程式に対する Fukaya-Ohta (2018) の論文において,鍵となる不等式の計算が複雑であった部分を簡単化するできることを報告する.また,今後取り組むべきいくつかの未解決問題について議論したい. |
日時 | 5月24日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C504小講義室 |
講師 | 小島 瑞輝 氏(東京工業大学) |
題目 | 時間非整数階微分を含む半線型熱方程式の臨界冪における可解性と非可解性について |
概要 | 本講演では,時間微分をCaputo微分と呼ばれる非整数階の微分作用素に置き換えた藤田方程式の可解性を扱う.このような時間非整数階モデルに対し,Zhang-Sun(2015)は通常の藤田方程式と同様の臨界冪(いわゆる藤田指数)が現れることを示した.興味深い点として,臨界条件下において,通常の場合は可解性が崩れるのに対し,時間非整数階モデルでは可解性が成立する.本講演では時間微分階数の極限においてこれら可解性と非可解性がいかに結びつくかを考察する.なお本講演内容は東京大学の比佐幸太郎氏との共同研究に基づく. |
日時 | 5月31日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C504小講義室 |
講師 | 渡邊 圭市 氏(公立諏訪東京理科大学) |
題目 | Maximal \(L_1\)-regularity approach to the free boundary problem of the Navier-Stokes equations via generalized semigroup theory |
概要 | In this talk, we consider the maximal regularity theorem of the Stokes equations with free boundary conditions in the half-space within \(L_1\)-in-time and \(\mathcal{B}^s_{q,1}\)-in-space framework with \((q,s)\) satisfying \(1 < q < \infty\) and \(-1 + 1/q < s < 1/q\), where \(\mathcal{B}^s_{q,1}\) stands for either homogeneous or inhomogeneous Beosv spaces. The maximal \(L_1\)-regularity theorem is proved by estimating the Fourier-Laplace inverse transform of the solution to the generalized Stokes resolvent problem with inhomogeneous boundary conditions, and thus our theory can be regarded as an extension of a classical \(C_0\)-analytic semigroup theory. As an application, we show the unique existence of a local strong solution to the Navier-Stokes equations with free boundary conditions for arbitrary initial data in \(B^s_{q,1} (\mathbb{R}^d_+)\), where \(q\) and \(s\) satisfy \(d-1 < q \le d\) and \(-1+d/q < s < 1/q\), respectively. If we assume that the initial data are small in \(\dot B^{-1+d/q}_{q,1} (\mathbb{R}^d_+)^d\), \(d-1 < q < 2d\), then the unique existence of a global strong solution to the system is proved. This talk is based on a joint work with Yoshihiro Shibata (Waseda University). |
日時 | 6月7日(金) 15:30--16:30 |
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会場 | オンラインのみ |
講師 | 岡 大将 氏(福岡工業大学) |
題目 | Homogenization problem with nonlinear boundary conditions and its applications to optimal design problems |
概要 | 本講演では, 非線形境界条件を伴う均質化問題について考察し, 最適設計問題へと応用する. 均質化問題は, 振動するような係数を伴う偏微分方程式に対して, 解の(係数に現れるパラメータに関する)極限が満たす均質化方程式を導出する問題である. 一方, 最適設計問題は, 与えられた材料に対して, 考察対象となるエネルギーを最小化する材料の形状を決定する問題である. 本講演では, 与えられた二材料から成る複合材料に対して, その境界が非線形境界条件を伴う場合にDirichletエネルギーを最小化する二材料の形状について考察するために, 均質化定理を応用して最適解の存在性について言及する. さらに, レベルセットによる形状表現を介してDirichletエネルギーを最小化するような形状を数値的に構成する. 尚, 本講演は喜多航佑氏(東北大学)及び, 松島慶氏(東京大学)との共同研究に基づく. |
日時 | 6月14日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C504小講義室 |
講師 | 佐藤 拓也 氏 (熊本大学) |
題目 | 非線形消散型シュレディンガー方程式の特別な解の長時間挙動 |
概要 | 非線形消散効果を持つ非線形シュレディンガー方程式の初期値問題を考える。 消散性により解の質量は時間について単調に減少するが、 ここでは質量が減衰する特別な非線形次数のもと、 解析的なクラスに属する解の長時間挙動を示す。 方程式の対称性を評価に取り入れることで、指数函数形を保つ特別な解を 構成しその質量減衰レイトを導くことで、 先行研究で得られていた上からの減衰評価が 解析的なクラスの上では最適であることを示す。 |
日時 | 6月21日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C504小講義室 |
講師 | 平良 晃一 氏(九州大学) |
題目 | Uniform resolvent estimates for the discrete Schrödinger operator in dimension three |
概要 | 本講演では,3次元離散Schrödinger作用素の一様レゾルベント評価について得られた結果を紹介する.一様レゾルベント評価はHardy-Littlewood-Sobolev評価のスペクトルパラメータがついた形での一般化であり,散乱理論やStrichartz評価,Lieb-Thirring型固有値評価など様々な応用が知られている.正方格子上の離散Schrödinger作用素の場合はトーラス上のエネルギー面の曲率が退化していることに起因して,通常のラプラシアンと比べて幾分か評価が悪くなる.その証明のためには,曲率がどのように退化しているのか具体的に調べなければならず,その曲率の影響をみるために退化した位相関数に関する定常位相法が必要になるという2つの困難が伴う.ここでは後者に関するIkromov-Müllerの結果を紹介し,それをどのように一様レゾルベント評価の証明に応用するのか説明する. |
日時 | 7月5日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 福岡大学(セミナー会場は案内メールでご連絡いたします。) |
講師 | 竹田 寛志 氏(福岡大学) |
題目 | 強消散項を含む非線形弾性波方程式の時間周期解について |
概要 | 本講演では, 強消散項と準線形の非線形項を持つ弾性波方程式に対して, 外力項が小さいとき時間周期解を構成し,その挙動について考察する. 特に, 時間周期解の正則性を見直すことによって, 補助空間として重み付きの空間を用いることなく, 時間周期解の安定性を示す. 本講演の内容は, 隠居良行氏(東京工業大学)との共同研究に基づく. |
日時 | 7月12日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C512 中講義室 |
講師 | 隠居 良行 氏(東京工業大学) |
題目 | 圧縮粘性流体方程式の分岐周期パターンの安定性について |
概要 | 粘性流体の運動を記述する方程式系においては解は様々な興味深い時空間非一様なダイナミクスを呈する.本講演では,回転流体系に見られる空間周期的渦パターンの分岐安定性問題を考察する.マッハ数が小さい場合に,定常周期パターンの分岐,非圧縮極限に関する結果,および分岐周期パターンの局所摂動に対する安定性・不安定性に関する結果を紹介する. |
日時 | 7月19日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C512 中講義室 |
講師 | 小薗 英雄 氏(早稲田大学・東北大学) |
題目 | Generalized quasi-geostrophic equation in the critical Lorentz-Besov space based on the maximal regularity theorem |
概要 | We consider the quasi-geostrophic equation with its principal part \((-\Delta)^{\alpha}\) for \(\alpha >0\) in \({\mathbb R}^n\) with \(n \ge 2\). We show that for every initial data \(\theta_0 \in \dot B^{1-2\alpha + \frac{n}{r}}_{r, q}\) with \(1< r < \infty\) and \(1 \le q \le \infty\), there exists a unique solution \(\theta\) in the class of maximal Lorentz-Besov regularity theorem \(\partial_t\theta, (-\Delta)^\alpha \theta \in L^{\gamma, q}(0, T; \dot B^s_{p, 1})\) for \(2\alpha/\gamma + n/p -s =4\alpha -1\) with \(n/p \le n/r < 2\alpha/\gamma + n/p\) and \(s>\max\{-1, 1-4\alpha + n/r\}\), where \(0 < T \le \infty\). If \(\theta_0\) is sufficiently small, then we may take \(T=\infty\). Notice that both classes of initial data and solutions are scaling invariant. This is the joint work with Peer C. Kunstmann(Karlsruhe) and Senjo Shimizu(Kyoto). |
日時 | 7月26日(金) 15:30--17:00 |
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会場 | 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 5階 C512 中講義室 |
講師 | 三浦 達哉 氏(京都大学) |
題目 | 平面 p-弾性曲線に対する安定性理論 |
概要 | 弾性曲線の問題は古典的な変分問題の一つであるが、臨界点の安定性を議論する場合、付随する第二変分の計算は一般には非常に複雑になる。またその一般化である p-弾性曲線を考えると、エネルギーが二回微分不可能になる場合も自然に現れる。本講演では平面 p-弾性曲線を含む広いクラスの変分問題に対し、第二変分に基づかない "cut-and-paste trick" による安定性理論を紹介する。またこれにより、特に幾つかの境界条件において平面 p-弾性曲線の安定解の一意性が得られることを見る。本講演の内容は吉澤研介氏(長崎大学)との共同研究に基づく。 |