令和4年度後期講演

日時 10月14日(金) 15:30--17:00
開催方法 ハイブリッド開催(オンラインはZoom会議)
会場 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館5階 C503小講義室
講師 佐川 侑司 氏(千葉工業大学)
題目 Upper and lower L^2-decay bounds for a class of derivative nonlinear Schrödinger equations
概要 空間1次元で3次の微分型非線形項を伴うシュレディンガー方程式の初期値問題を考察する。特に、微分型非線形項が弱い消散構造を持つ場合について考察する。Li-Nishii-Sagawa-Sunagawa(2021)による先行研究では、解のL^2減衰評価が得られた。しかし先行研究で得られたL^2減衰評価には「余分な+δ」があり、評価が最適なのかどうかが不明であった。本講演では、先行研究で用いられた手法とは異なる手法を用いることで、解のL^2減衰評価における「余分な+δ」を排除できることを示す。さらに初期値のフーリエ変換がある条件を満たす場合に評価が最適であることを示す。本講演は李春花氏(延辺大学)、西井良徳氏(東京理科大学)、砂川秀明氏(大阪公立大学)との共同研究に基づく。 



日時 10月21日(金) 15:30--17:00
開催方法 ハイブリッド開催(オンラインはZoom会議)
会場 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館5階 C503小講義室
講師 長澤 壯之 氏 (埼玉大学)
題目 結び目と絡み目に対するメビウス・エネルギーと波動写像
概要 結び目に対するメビウス・エネルギーは、それぞれ結び目の曲がり具合と捩じれ具合を測る第一・第二エネルギーと絶対定数に分解される。それぞれのエネルギーは、メビウス不変性を保持している。絡み目に対するメビウス・エネルギーについても同様の分解が可能である。第二エネルギーは第一エネルギーに比べ複雑に見えるが、結び目や絡み目のガウス写像を用いると極めて簡潔な表示を持つ事が最近分かった。本講演では、まずこの新規に見つかった表現を紹介する。ガウス写像は2次元トーラスから球面への写像である。第二エネルギーを符号(1,1)のローレンツ計量を入れた2次元トーラスから球面への写像に対する汎関数と見なすと、調和写像の汎関数となっている。従って、停留点は波動写像になる。ガウス写像が波動写像となる結び目や絡み目の存在や非存在について考察する。本講演は、石関彩(埼玉大学)との共同研究によるものである。 



日時 10月28日(金) 15:30--17:00
開催方法 ハイブリッド開催(オンラインはZoom会議)
会場 福岡大学9号館4階 第4大学院講義室
講師 中村 謙太 氏(熊本大学)
題目 Local estimates for a mixed local and nonlocal doubly nonlinear parabolic equation
概要 通常の二重非線形放物型方程式を振り返りながら, 非線形局所・非局所混合型二重非線形放物型方程式に対する符号変化解の非局所尾評価, 局所有界性,L^p-時間連続性を紹介する. また時間があれば,正値解に対するlog評価,逆Hölder不等式.Harnack評価を, 二重非線形を扱う際にいつも障害となる解の時間弱微分可能性を華麗に担保する指数型mollifier (Kinnunen-Lindqvist, Ann. Mat. Pura Appl. (2006))とともに紹介する.  



日時 11月11日(金) 15:30--17:00
開催方法 ハイブリッド開催(オンラインはZoom会議)
会場 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館3階 D-314
講師 佐野 めぐみ 氏 (広島大学)
題目 Improvements and generalizations of two Hardy type inequalities
概要 原点に特異性をもつ古典的Hardy不等式と、境界に特異性をもつgeometric Hardy不等式に関して、 最良定数及び達成不可能性は、古くからよく知られている。 本講演では球上でこの2つのHardy型不等式を最良定数込みで改良した不等式について紹介し、その最良定数の達成不可能性について述べる。 Hardy型不等式の最良定数の達成不可能な原因として、virtual minimizerの存在が知られているが、 この3つのHardy型不等式のvirtual minimizer同士の関係性についても述べる。 また時間が許せば、高階への一般化であるRellich型不等式に関する部分的な結果と予想についても述べる。



日時 11月18日(金) 15:30--17:00
開催方法 ハイブリッド開催(オンラインはZoom会議)
会場 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館5階 C503小講義室
講師 駒田 洸一 氏(中京大学)
題目 Scattering for a quantum modified nonlinear Schrödinger equation below the ground state in 10D
概要 量子ザハロフ系から亜音速極限によって得られる4階の分散項を持つ非線形シュレディンガー方程式について考える. 本講演では, エネルギー臨界の場合に相当する空間10次元において, 基底状態よりエネルギーの低い球対称な初期値に対して解が散乱する最適な条件を与える. 証明はKenig-Merle (2006)による凝集コンパクト性の議論を用いて行う. 非線形4階シュレディンガー方程式に対してはPausader (2009)による類似の先行研究があるが, 本講演で取り扱う方程式は2階の分散項や非斉次な非線形項を含んでおり, スケール不変性がないなどの難しさがある.



日時 11月25日(金) 13:30--15:00,15:30--17:00
開催方法 ハイブリッド開催(オンラインはZoom会議,福岡大学解析セミナーとの共同開催)
会場 13:30--15:00 福岡大学9号館4階 大学院講義室4
講師 北村 駿介 氏(東北大学)
題目 特性方向重み付き微分型非線形波動方程式の解析
概要 本講演では, 1 次元空間で特性方向の重みを持つ微分型半線形波動方程式の初期値問題を考察する. 初期値が小さい場合の古典解の最大存在時間, いわゆるlifespanの評価について, 新たに得られた結果を報告する. この結果は, 時間変数のみまたは空間変数のみの重みや特性方向の重みを持つ微分型ではない半線形方程式に対する, 一連の共同研究 (with Takamura, Wakasa, Morisawa) の結果とは大きく異なる. その違いが何に由来するのかを明らかにしつつ, 詳細なlifespan評価を得るための仕組みを紹介する. この様な研究は, 既存の自励的な非線形波動方程式の一般論を非自励的な方程式に拡張する際の, 最適性を含めた基本原則となるものである.
会場 15:30--17:00 福岡大学18号館2階 1823教室
講師 江夏 洋一 氏(東京理科大学)
題目 自由境界をもつ拡散型 SI 感染症モデルの semi wave の存在
概要 本講演では,生物の新たな生息領域への侵入を表す自由境界問題を考える.特に,感染個体が居る領域の境界が時間とともに移動するような,自由境界をもつ感染症モデルを考える. 未知関数として扱う個体種が Logistic 方程式のように単独の場合は,Du, Lin (2010) などにより,spreading-vanishing の条件や半空間を伝播する進行波(semi wave)の存在性を含むいくつかの結果が得られている.一方で,感染症モデルのように未知関数として扱う個体種が複数の場合は,単独種での解析を複数種に関する系に応用することが難しく,関連する先行研究が少ない. 本講演では,自由境界をもつ拡散型 SI 感染症モデルにおいて,semi wave の存在性に関する結果や今後の課題をお話ししたい.講演内容は,東京理科大学の石渡恵美子氏と牛島健夫氏との共同研究に基づく.



日時 12月2日(金) 15:30--17:00
開催方法 対面のみ(数理物理セミナーとの合同開催)
会場 九州大学西新プラザ 大会議室 A
講師 高村 博之 氏(東北大学)
題目 The combined effect in one space dimension beyond the general theory for nonlinear wave equations
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日時 12月9日(金) 15:30--17:00
開催方法 ハイブリッド開催(オンラインはZoom会議)
会場 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館5階 C503小講義室
講師 宮崎 隼人 氏(香川大学)
題目 Long-range scattering for a homogeneous type nonlinear Schrödinger equation
概要 本講演では, 空間3次元以下において, 時間減衰する調和振動子を持つ非線形シュレディンガー方程式の終値問題を考察する. 非線形項は, 必ずしも多項式とは限らない斉次型非線形項を扱う. 講演者は眞崎氏, 瓜屋氏との共同研究の中で, 散乱の意味での臨界べきを持つ調和振動子を持たない非線形シュレディンガー方程式において, 修正波動作用素が構成できるような非線形項の形状に関する十分条件を与えた. 時間減衰する調和振動子を持つ場合, 川本氏により非線形項がゲージ不変なべき型であるときに修正波動作用素が構成されている. 本講演では, 時間減衰する調和振動子を持つ場合に, 修正波動作用素が構成できるような非線形項の形状に関する十分条件を与える. なお, 本講演は愛媛大学の川本昌紀氏との共同研究に基づく.



日時 12月16日(金) 16:00--17:00
開催方法 オンライン開催
会場 Zoomによるオンライン会議
講師 福田 一貴 氏(信州大学)
題目 Large time behavior and optimal decay estimate for solutions to the generalized KP-Burgers equation in 2D
概要 本講演では, 一般化KP方程式にx方向の散逸項を付与した, 一般化KP-Burgers方程式の初期値問題の解の大域挙動を考える. この問題の特徴は, 散逸項と分散項の形状により, 方程式が空間異方性を持つことであり, この異方性による散逸と分散の相互作用が解の構造に本質的な影響を与える. 特に, 解の時間減衰評価については, この異方性により特有の減衰率が現れる. 実際, Molinet(1999)では, 初期値に空間異方的な正則性の条件を課すことで, 解の上からの評価が得られており, 解の\(L^\infty\)-ノルムがt-7/4のオーダーで減衰することが知られている. 本研究では,初期値の正則性について先行研究と同様の条件の下で, 解の下からの評価を導出し, 前述の評価の減衰率が最良であることを示したので, その結果を紹介する. なお, 本講演の内容は宮崎大学の平山浩之氏との共同研究に基づく.



日時 1月20日(金) 15:30--17:00
開催方法 ハイブリッド開催(オンラインはZoom会議)
会場 九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 C615中セミナー室
講師 藤井 幹大 氏(九州大学)
題目 Global strong solutions to the compressible Navier-Stokes equation with the Coriolis force
概要 本講演では回転座標系における圧縮性Navier-Stokes方程式の時間大域的可解性を臨界Beosv空間の枠組みで考察する.回転座標系では流速の方程式の線形部分にコリオリ力を表す異方的な低階項が現れる特徴がある.非圧縮性回転粘性流体や非回転の圧縮性粘性流体の場合と異なり,圧縮性回転粘性流体ではコリオリ力と流体の密度の相互作用によって,線形解の低周波部分での時間減衰が熱核より遅くなることが分かった.従って低周波部分の評価にいくつかの困難点が現れるため,通常の圧縮性Navier-Stokes方程式の解析手法を用いて時間大域解を構成することは困難である.本講演では,低階の微分指数を持つBesov空間での非線形評価手法を新たに確立することで困難点を解消し時間大域解を構成できることを報告する.



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