研究内容 | 研究室 | 最適化セミナー | |
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著書 | 講義 | 数理同窓会 | 博士インターンシップ |
折り紙 | 植物 | 自己紹介 |
kawasakiアットmath.kyushu-u.ac.jp
2010/2/5-7 | Discrete fixed point theorems of contraction mappings | International Symposium on Nonlinear Analysis and Optimization | Pukyong National University, Busan, Korea |
現在の研究テーマ | これまでの研究テーマ |
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変形折鶴理論の拡張 | |
離散不動点定理とゲーム理論へのその応用 | 共役集合ゲーム |
3相分割問題に対する双対定理 | 最適化における共役点理論 |
1次元折り紙の平坦折りたたみ条件 | 状態制約をもつ変分問題に対する共役点 |
微分不可能最適化とチェビシェフ最良近似 | |
極値問題に対する2次の最適性条件 | |
多目的計画法における双対定理 |
現在の研究の概略
離散不動点定理 |
ナッシュはn人非協力ゲームが均衡解をもつことをブラウワ−の不動点定理を用いて証明した。この均衡解はナッシュ均衡解とよばれ、ゲーム理論で最も重要な概念のひとつと認識されるようになった。この研究により、ナッシュは1994年度ノーベル経済学賞を受賞した。 一般に、ナッシュ均衡解は混合戦略(サイコロを振って戦略を選択する)により達成されるが、川崎と佐藤潤一は、写像の単調性に基づく離散不動点定理を与え、純戦略均衡解をもつn人非協力ゲームのクラスを提示した。 to appear in Taiwanese J. of Mathematics |
3相分割問題に対する双対定理 |
金属の結晶化や生物の縄張り形成において、領域が図のような3つの部分領域に分割されることがある。このとき、内部境界はその長さが最小になるように形成される。
..... 3相分割問題はもともと変分問題として定式化されたが、本研究ではこれを X0 から三点 X1, X2, X3への距離の和の最小化問題として定式化し、双対定理を与えた。つまり、主問題 (P) において X0は領域 Ω 上を、Xi は凸集合 Ci 上を動き、培|Xi-X0|| の最小化を行う。一方、双対問題 (D) では三つの凸集合 C1, C2, C3 を分離する三角形の最大化を行う(目的関数は三角形の最小の高さ)。主問題が非退化な (X0 が他のXi と一致しない) 最適解を持つとき、主問題の最小値 min(P) と双対問題の最大値 max(D) は一致する。また、双対問題の最適解は正三角形になる。 to appear in J. Optimization Theory and Applications, 2007 |
最適化における共役点理論 |
共役点は変分問題に対してヤコビが導入した大域的な概念であり、解の最適性を判定する際に重要な役割を演じる。変分問題においては未知数が関数 x(t)
であるため、”n 変数関数 f(x) の極値問題に対する共役点は何か?” という素朴な疑問が浮かぶ。実は、この基本的な問題がこれまで全く考察されてこなかった。その理由のひとつとして、勾配ベクトル f'(x) とヘッセ行列 f''(x) を用いた次の判定法の存在がある。 x が極小解 → f'(x)=0, f''(x) 非負定値 この判定法の必要条件と十分条件の違いはごく僅かであるが、そこには共役点の「き」の字も現れていない。ところが、この極値問題に対しても共役点理論を展開することが出来る。 一方、共役点は元来協力ゲームの構造をもつ。つまり、変分問題であれ極値問題であれ、共役点理論において「変数の協力」という観点は非常に重要である。n 変数関数 f(x) の臨界点において、一部の変数だけでは解を改善できない場合でも、より広い範囲の変数を同時に変化させることにより解を改善できることがある。この視点に拠れば、共役点の代わりに変数の部分集合である共役集合を考える方が自然であり、ゲーム論的考察が可能になるのである。 |