Kyushu University Leading PhD Program in Mathematic for Key Technology 九州大学リーディングプログラム『キーテクノロジーを牽引する数学博士養成プログラム』

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▶海外長期インターンシップ報告(栗原寛明)

●報告者:
九州大学大学院数理学府博士後期課程2年 リーディングプログラム生 栗原寛明

●出張期間:
令和元年7月1日~令和元年9月30日

●渡航国(都市名)・用務先:
ドイツ(ベルリン)/ベルリン・コンラート=ツーゼ情報技術センター

●報告:
Zuse Institute Berlin において、研究課題「Spline Models for Shape Trajectory Analysis」に取り組んだ。 本研究課題はCharité大学病院との共同研究であり、リーマン幾何学の道具を用いた形状解析を行った。今回のインターンシップでは、特に、周期的な動きを持つ僧帽弁の形状解析を行い、正常な弁と疾患のある弁の動きを区別し、医療診断に役立てることが最終目標であった。

幾何学的手法を用いた形状解析はこれまでの先行研究で行われてきたが、従来の手法では周期的な動きを持つ対象の形状解析に対しては十分な結果が得られていなかった。本研究課題では、僧帽弁の1周期の動きを数値化したデータセットを、いくつかのBézier曲線を合成して得られる滑らかな曲線を用いてフィッティングを行い、結果として得られる曲線から疾患の有無を見出そうとするものである。 従来の僧帽弁疾患の診断にはCTやMRI画像を用いた左心室の体積の変化が判定基準として用いられていたが、本手法により疾患の有無の判定に新しい判断基準を与えることができる。本研究で扱ったデータはある多様体(2つのLie群)に値をとるデータであったため、リーマン幾何の道具を応用することができた。

活動期間中において、形状解析手法の全てを完成させるところまでは及ばなかったが、解析に必要となるいくつかのプログラムの作成、及び、テストデータでの実装を行い、解析手法の基礎となる部分まで完成させることができた。また、応用数学(主に、医療分野への応用)に関するワークショップにも参加することができ、数学の幅広い応用事例について見識を深めることができた。

本インターンシップはリーディングプログラムの活動の中でも特に重要な活動の一つであり、インターンシップへの参加により、数学が社会に活かされている様子を改めて間近で感じることができた。 報告者の研究分野はトポロジーであり、リーディングプログラムの学生として、産業や数学以外の学術領域へのトポロジーの応用も見据えながら研究活動を行っている。このような点において、数学を基盤とした技術による社会への貢献を目指す研究を実際の現場で体験できたことは、とても有意義で貴重な経験であった。本インターンシップで得られた知識や経験を今後の研究活動に活かす所存である。




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