Kyushu University Leading PhD Program in Mathematic for Key Technology 九州大学リーディングプログラム『キーテクノロジーを牽引する数学博士養成プログラム』

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▶海外長期インターンシップ報告(王イントウ)

●報告者:
九州大学大学院数理学府博士後期課程2年 リーディングプログラム生 王イントウ

●出張期間:
平成29年6月1日~平成29年8月28日

●渡航国(都市名)・用務先:
ドイツダルムシュタット・CRISP 研究センター

●報告:
リーディングプログラムにおける海外長期インターンシップを実施するため,ドイ ツの研究センターCenter for Research in Security and Privacy (CRISP) に滞在した. インターンシップでは主にCRISP のJohannes Buchmann 教授の研究グループとChristian Bischof 教授のグループと共同研究を行った.研究課題はそれぞれ「The Application of Sparsification Technique on LWE Problem」と「The Scalability and Performance of the Parallel Implementation of Lattice Enumeration Algorithms」であった.

まず,CRISPのspeakerとして務めているJohannes Buchmann教授のグループに所属するThomas Wunderer氏とLearning With Errors (LWE)問題に対する課題を議論した.格子暗号は次世代暗号の最有力候補と して幅広く研究されている.その中でNP困難問題であるLWEが 暗号の安全性根拠として多く利用されている. LWE問題を解析する⼿法の⼀つとして,以下を議論した.LWE 問題をthe unique Shortest Vector Problem (uSVP)問題に帰着させ, 公開鍵情報を格子の基底に埋め込む. その上で,格⼦簡約アルゴリズムや探索アルゴリズムなどを施して秘密情報を含む最短ベクトルを出⼒す る流れである.

本研究では「The Application of Sparsification Technique on LWE Problem」 を課題として,LWEベース格子暗号の安全性を評価するためにBai-Stehle-Wenが国際コロッ キアムICALP2016で提案したSparsification technique を解析し,大規模実験を行った.理 論を検証するとともに,使っている格子簡約アルゴリズムProgressive BKZ はオープンソー スfplllのBKZよりパフォーマンスが良いということも分かった.また,CRISP のChristian Bischof 教授のグループのMichael Burger氏と「The Scalability and Performance of the Parallel Implementation of Lattice Enumeration Algorithms」に関する研究を行った.グ ループの方々にProgressive BKZ 簡約アルゴリズムを解説してコードを改良した.

研究のほか,CRISPが管理するSVP Challenge Generator における問題を発見し,報告と解 決などの作業を行った.また,経費申請ためのプロフィールの提案作成に参加させていただいたり,国際会 議ISC2017に参加することにより,インターンシップを非常に充実させた.

CRISP研究センターはFraunhoferセキュリティ情報技術研究所やダルムシュタット工科大学など の研究機構を連結して成立された.研究所では厳しい雰囲気は感じず,今後の連携研 究に向けて現地の研究者たちとスムーズに交流できた.全て英語で行ったため,学術的な 英語能力の向上に役にたった.移動を含めた日常生活における英語によるコミュニケーショ ンでも特に困難はなかった.今回のインターンシップを通して,専門知識を深めるとともに 自分自身も成長できたと思う.


 
連絡先:九州大学数理学研究院/マス・フォア・インダストリ研究所 事務室
(数理・MI研究所事務室)
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