九州関数方程式セミナー 平成30年度後期講演

日時 11月16日(金) 15:30--17:00
会場 福岡大学 セミナーハウス 2階 セミナー室
講師 熊崎 耕太 氏 (長崎大学)
題目 二重尺度法を用いた多孔質媒体内の水分の流れを表す数理モデルとその解析
概要 様々な構造物に用いられるコンクリートは、内部に無数の細孔をもつ多孔質媒体として捉えられている。 こうした内部の細孔には水分が含まれており、この水分がひび割れや剥離といった目に見える劣化を引き起こしている。 この現象は、目に見えないような微視的な変化が目に見える巨視的な部分へ影響を与えているという意味で興味深いものである。 近年、我々は、こうした内部の水分に対して、物質によって占められた全体領域(巨視的領域)と内部の細孔(微視的領域)を組み合わせる二重尺度(マルチスケール)という概念を導入し、流れを表す数理モデルを導出した。 二重尺度法では、微視的領域は、全体領域の一点を拡大することによって得られる領域として捉えており、我々のモデルは、全体領域において観測される相対湿度の拡散方程式と微視的領域における水分の吸着現象を記述する自由境界問題で構成されている。 本講演では、二重尺度法による水分の流れを表す数理モデルとその初期値境界値問題の解の存在と一意性など得られた結果について紹介する。 本研究は、日本女子大学の愛木豊彦先生、長岡高専の佐藤直紀先生、名城大学の村瀬勇介先生との共同研究に基づくものである。

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