概要 |
本講演では、オイラー方程式における局所非適切性の結果について報告する。特に、解の存在と一意性が成り立っている$B^1_{\infty,1}$というBesov空間(Pak-Park, 2004)で初期値に対する連続依存性が成り立たないことを報告する。 なお、本研究はノートルダム大学のGerard Misiolek氏との共同研究に基づく。
オイラー方程式の局所適切性については膨大な研究がなされてきているが、$H^{d/2+1}$や$W^{d/p+1,p}$ ($d$は次元), $C^1$といったクリティカルな関数空間での局所適切性については未解決であった。昨年、BourgainとLiは$H^{d/2+1}$や$W^{d/p+1,p}$でオイラー方程式が局所非適切であることを証明した。彼らは、原点にsaddle pointを持ちかつLagrangianにおけるlarge deformation gradientsを引き起こす初期渦度をうまく構成し、そこからそのクリティカルな関数空間で非適切になることを示している。この先駆的な結果を追うようにして、$C^1$クラスでの非適切性に関しても3つの研究グループによって(それぞれ独自の手法によって)示された。(Misiolek-Y 2014 May 8, Elgindi-Masmoudi May 10, Bourgain-Li May 12)それらを踏まえたうえで、我々はよりクリティカルな$B^1_{\infty,1}$クラスにおける局所非適切についての考察を進めたので、それを本講演で報告する。
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