概要 |
エネルギー臨界非線形シュレディンガー方程式について考察する.この方程式に対しては,Talenti関数が定常解となっていて,これよりエネルギーと運動エネルギーが小さい解は自由解に散乱する事が予想されている.実際,Kenig-Merle (2006) とKillip-Visan (2010) によって,それぞれ,球対称解と空間5次元以上の場合に肯定的な結果が得られている.どちらの場合も証明の鍵となるのは,minimal blowup solutionと呼ばれる解であり,この解の存在を否定する事によって証明が完了する.特に,minimal blowup solutionは,finite-time blowup, low-to-high frequency cascade, soliton-likeの3つの場合に分類され, どの次元でも, finite-time blowupはない事が示せるため,空間3,4次元の時に,low-to-high frequency cascadeとsoliton-likeの2つの場合がない事を証明すれば予想が解決されるが,未解決である.この講演では,low-to-high frequency cascadeの場合を否定するために有効と思われるアプローチと,soliton-likeの場合の解析に役立ちそうな補題"almost zero-momentum"を紹介する.
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