日時 | 7月 3日(金) 15:30--17:00 |
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講師 | 三沢 正史 氏 (熊本大・理) |
題目 | 調和写像流の正則性条件について |
概要 | $\Omega \subset R^m$, $m \ge 2$, を滑らかな境界 $\partial \Omega$ をもつ有界領域とする. $(0,T) \times \Omega$, $T>0$, 上で定義された $R^n$, $n \ge 2$, に値をとる写像 $u=u(t,x)$ を未知写像とする次の非線形放物型2階偏微分方程式を考える. この放物型2階偏微分方程式は, $\Omega$ から単位球面 $S^{n-1} \subset R^n$ への調和写像の時間発展方程式であり, 調和写像流と呼ばれる. とくに, 調和写像を定式化する $\Omega$ 上のDirichletエネルギーの最小化問題に対する最急降下曲線を与える. したがって, 時間大域解の時間無限極限は調和写像になることが期待される. このことがJ. Eells とJ. H. Sampson が最初に調和写像流を考えた所以であった(彼らはしかしながら写像先の多様体の断面局率が非正の場合を扱い, 線形の評価に帰着することができることを示した). 1980 年代後半, M. Struwe らの一連の結果は, 写像先が一般の滑らかなコンパクト多様体の場合を扱い, 大きなエネルギーデータに対して, エネルギー不等式を満たす弱解が時間大域的に存在することを証明した. 加えて, 弱解の正則性条件を与え, その条件の成り立たない点の集合(特異点の集合を含む) の大きさ (Hausdorff 測度) を評価した. 一方で, 解の特異性が実際に起こる例も与えられた. この発表では, 弱解の正則性条件の改良と関連する解の存在問題について考察する. |