九大多重ゼータセミナー予定
2023年度後期
下記の要領でセミナーを行います。
日時: 2023年12月7日(木) 14:00〜15:15
会場: 九大伊都キャンパス ウエスト1号館 C-513中講義室
講演者(敬称略):大塚瑛介(東北大学)
講演題目:2次のフェルマー曲線上の反復積分と多重\(\widetilde{T}\)値
要旨:多重ゼータ値はRiemannゼータ値の多重化として得られる多重級数であり、\(\mathbb{P}^1(\mathbb{C})\setminus\{0,1,\infty\}\)上の反復積分による表示が知られている。本公演では、その類似として2次のフェルマー曲線から何点か除いた空間における反復積分によって得られる特殊値を定義し、それらが満たす数論的性質を紹介する。この特殊値は多重ゼータ値の拡張となっており、さらにKaneko、Tsumuraによって定義された多重\(\widetilde{T}\)値とよばれる特殊値も含む周期となっている。またDeligneやGoncharovらによって導入されたモチヴィック反復積分の理論を用いて今回定義する特殊値のモチヴィックな解釈を与えることができ、これにより今回の特殊値、ないしは多重\(\widetilde{T}\)値のなす\(\mathbb{Q}\)-線形空間に関する諸性質を調べることが出来る。ただし彼らの理論を直接適用させることは出来ず、モチヴィック反復積分のなす空間の係数拡大、およびガロア群の作用を考えてこれらを実現する手法についても紹介したい。
日時: 2023年12月7日(木) 15:45〜17:00
会場: 九大伊都キャンパス ウエスト1号館 C-513中講義室
講演者(敬称略):角野裕太(東北大学)
講演題目:Beukers型の積分と川島関係式について
要旨:1979 年に Beukers は、正方領域上の積分を用いて \(\zeta(3)\) の無理数性を示した。その後 Vasilenko や Vasil'ev, Zlobin などによって Beukers 型の積分を一般化する研究がなされた。他方、2009 年に Kawashima によって導入された川島関数の Taylor 展開係数は、多重ゼータ値を用いて記述することができる。また、川島関数の積構造から得られる多重ゼータ値に関する \(\mathbb{Q}\) 係数関係式は、川島関係式と呼ばれている。この川島関係式は、多重ゼータ値の 全ての \(\mathbb{Q}\)-線型関係式を生成すると予想されている関係式族の一つである。本講演では、上記の Beukers 型の積分を多重積分へと一般化した Zlobin の結果と、Kaneko-Xu-Yamamotoによる川島関数に関する結果を踏まえて、川島関数の Beukers 型の積分表示を与える。また、この積分表示を用いて川島関数のTaylor係数を明示的なインデックスを持つ多重ゼータ値で表す。
当日のzoom
https://us06web.zoom.us/j/81487098433?pwd=jVYjvOkUHdXiN4G1So8fpebcXe3aDO.1
ミーティング ID: 814 8709 8433
パスコード: 061846
以降、随時更新予定
講演情報
世話人:
金子昌信 (mkaneko[アット]math.kyushu-u.ac.jp)
(セミナーに参加したいが旅費の工面が困難であるという(主として学生の)方,
金子までご相談下さい.また講演者の自薦他薦も随時お待ちしております.)