セミナー発足に際してのごあいさつ(1997.4)


第 231 回 Q-NA セミナー
日     時2009 年 2月 17日 (火) 15:30 - 17:00
場     所九州大学箱崎キャンパス 理学部 3号館 3階 3311 号室
講 演 者菊地 文雄 (東京大学 大学院数理科学研究科)
題     目電磁場問題と有限要素法
概     要 電磁場問題の数値計算 (数値電磁気学) は, 計算固体力学, 数値 (計算) 流体力学, 計算伝熱学などと並んで, 工学や産業 (さらに理学) での応用性が広い分野であり, 空間次元2以下の問題は様々な手法によりかなり以前から取り扱われていた. しかし3次元問題になると, 特に一般形状の物体 (媒質) を扱いやすい有限要素法 (や有限差分法) として有効なものの開発が困難であって, 一時は欧米で "nightmare in computational electromagnetism" などとも言われたそうである. これは, 数理現象としては, たとえばスペクトル汚染の現象や, 領域の幾何学的形状に起因する厳密解の特異性が, 数値解では全く捉えられないという事実として出現する. また, 数学的な背景としては, 非コンパクト作用素のスペクトルの問題や, 関数空間によっては, なめらかな関数のなす部分空間が必ずしも稠密にはならない事などが挙げられる.

 講演者も欧米とは独立にこの難題に取り組み, 数値計算向きの定式化や具体的な有限要素スキーム, さらに反復解法などを開発, 検証してきた. その際, 定式化にはラグランジュの未定乗数法に基づく混合法 (隠れた未定乗数法) とその摂動, 有限要素としてはベクトル要素の採用が有効であった. なお, そこで対象としたのは, 最も基本的な有界で均質 (一様) な媒質中の静電磁場問題 (境界値問題) と自由振動問題 (固有値問題) であるが, より一般的な問題に対しては, たとえば九大の金山, 田上氏らの業績がある. さらに, このような計算法の数学的妥当性についても考察し, いわゆる離散コンパクト性の議論を展開した. この課題については, その後, イタリアのBoffi氏らにより一般化, 深化された. 以下では, 上記の内容を概観するとともに, 時間発展問題なども含む最近の動向についても簡単に紹介したい.

 1. 電磁場問題の概要:Maxwell方程式から
 2. 関数空間: 擬Sobolev空間
 3. 基本的な定式化と数値計算向き定式化
 4. 有限要素スキーム: 混合法, ベクトル要素
 5. 数理解析:下限・上限条件, 離散コンパクト性, 収束, 誤差評価など
 6. 数値計算法:無限次元固有空間の取り扱い, 反復解法など
 7. 最近の動向など:各種形状要素, FDTD法とFEMの関係など

世話人
田上 大助 (九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
渡部 善隆 (九州大学 情報基盤研究開発センター)

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