セミナー発足に際してのごあいさつ(1997.4)


第 227 回 Q-NA セミナー
日     時2008 年 12月 2日 (火) 15:30 - 17:00
場     所九州大学箱崎キャンパス 理学部 3号館 3階 3311 号室
講 演 者石川 英明 ((株)半導体先端テクノロジーズ)
題     目量子力学と数値解析
概     要 量子力学は、粒子が波のように振る舞う現象を扱う力学である。運動する粒子はde Broglie波長l = h/p(hはPlanck定数、pは運動量)を持ち、その運動は確率振幅に対するSchrodinger方程式に従う。波としての性質は、系の特徴的な長さがde Broglie波長と同程度の場合に顕著に表れる。その例は、原子や分子内の電子、半導体超格子内の電子や正孔、等である。量子力学は物質の構造と性質を理解し、利用するための基礎を与える。
 定常状態かつ束縛状態に対するSchrodinger方程式は微分方程式の固有値問題に帰着される。Schrodinger方程式の解法には、特殊関数を使って解析的に解く方法や近似法(摂動論、変分法、WKB近似、等)がある。これらは量子力学の理解や定性的な議論に有用である。しかしながら、解析解が得られるのは、自由粒子、調和振動子、水素原子、等に限られており、近似法の適用範囲は意外と狭い。このため、量子力学を現実の系に適用して知見を得ようとすると、数値解析が不可欠となる。また、現実の系は種々の要因が拮抗し、絶妙なバランスの上に成り立っていることが多い。そうした系を扱える手段は数値計算である。
 一方、量子力学を数値計算で解くことは、量子力学誕生の頃から行われてきたが、計算精度に対する注意深い考察と計算手法の確立は永らく日の目を見てこなかった。また、計算精度に課題があること自体が広く認識されてこなかった。
 最近、高精度かつ単純、高速の計算手法が発展した。本講演では、計算手法とその結果を示す。計算手法では、補間、数値微分、数値積分、常微分方程式の初期値問題の解法、微分方程式の固有値問題に対する離散化行列固有値法とshooting法、等を述べる。また適用例として、一次元問題では、調和振動子、非調和振動子、Morseポテンシャル、変形Poschl-Tellerポテンシャルの計算例を示す。中心力場問題では、長距離型のCoulombポテンシャル、短距離型のHulthenポテンシャルとYukawaポテンシャル、長距離型と短距離型の重ねあわせであるHellmannポテンシャルへの適用例を示す。
 こうした経験を通じて、量子力学は数値解析の全分野と強く関連しているという認識がこれまで以上に深まってきた。相互理解を深め、協力しあうことで、相互にメリットのある発展がもたらされるだろう。
参考URLhttp://www.sccj.net/publications/JCCJ/v6n3/a08/abstj.html

世話人
田上 大助 (九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
渡部 善隆 (九州大学 情報基盤研究開発センター)

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