セミナー発足に際してのごあいさつ(1997.4)

第 292 回 Q-NA セミナー
日     時2012 年 4月 17日 (火) 15:30 - 17:00
場     所九州大学伊都キャンパス 総合学習プラザ1階 工学部第10講義室
講 演 者秋山 正和 (九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
題     目卵割の面白さとその数理的アプローチ
概     要    卵割とは発生の初期段階において,受精卵が全体のサイズをほぼ一定に保ちつつ,分裂を繰り返しながら,細胞数を増やしていく過程である.この間,割球同士の配置やタイミングがいかに調整されて,自己を複雑に形作るのかは謎とされている.このような発生現象は一般的に,遺伝子すなわち分子レベルの情報で決まっていると考えられがちである.しかしながら,黒田玲子氏 (東京大) が行った巻貝に対する一連の実験 [1] からもわかるように,物理的な外力が巻貝の巻き方を反転させることから,発生は遺伝子の情報がすべてを決めているのではなく,より単純な別の原理により起こっているに違いないのである.我々はウニとナマコの卵割パターンについて,卵内の分裂装置の位置が卵の形状とモルフォゲンにより決まっているという単純な仮説を立て,数値シミュレーションを行った.その結果,これらの生物のような複雑な形状を持つ卵割を再現することができた.
    ウニ卵の動物極・植物極付近にはそれぞれ異なる拡散性の化学物質が存在していることがわかっている.ここでは,これらが中心体の動きに影響を与えるという仮説を用いた.例えば,中心体に対して動物極からの化学物質が忌避性を,植物極からの化学物質が誘因性を持った場合,複雑なウニの卵割が再現できた.さらに16細胞期のような複雑な形状を持つ場合でさえ,中心体の方向性だけでなく,小割球-中割球-大割球までもが再現することに成功した.このことからわかるとおり,卵割の再現は化学物質の拡散現象が重要であると考えることができる.本発表ではモデルをより深く掘り下げて紹介するとともに,他の生物への適用例なども紹介する.

参考文献
[1] Chiral blastomere arrangement dictates zygotic left-right asymmetry pathway in snails, Nature 462, 790-794,10 December 2009
備     考お車でお越しの場合にはこの案内を印刷してご持参のうえ, 入構の際に守衛所にてご掲示ください.

世話人
田上 大助 (九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
渡部 善隆 (九州大学 情報基盤研究開発センター)

ご不明な点がございましたら、事務局: までお問い合わせ下さい。


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Last-modified: 2012-04-10 (火) 12:11:23 (2049d)